国際リニアコライダー(ILC)とは|会長・島耕作(12巻)(ILC誘致編)

皆さんは、「世界の科学者が建設を待ち望んでいるとある施設」を日本に誘致する動きがあるのをご存知でしょうか?

その施設は、「国際リニアコライダー(ILC)」と言い、素粒子の研究に使う巨大加速器のことです。ちなみに「ILC」は、International Linear Colliderの略称で、「Linear」は「直線の形」、「Collide」は「衝突する」という意味です。

このILCの技術は、医療や科学、その他多くの産業において応用されることが期待されています。何を隠そう、世界初のウェブサイト「ワールドワイドウェブ(www)」もこの素粒子の研究(加速器実験)から生まれたのです。

僕はこの「国際リニアコライダー(ILC)」(以下、「ILC」という。)については、三橋貴明さんのブログを読んで知り興味を持ったのですが、文系出身なこともあり専門的な書籍を読むまでには至りませんでした。ILCがどういったものなのか簡単にでも知りたいなと考えていた折、この『会長・島耕作(12巻)』が一冊丸ごとILCに関する内容だという事を知り、思わず衝動買いしてしまいました。

国際リニアコライダー(ILC)とは

国際リニアコライダー(ILC : International Linear Collider)とは、地下のトンネルに設置される大規模な素粒子衝突実験装置です。電子と陽電子を超高エネルギーで正面衝突させ、ビッグバン(宇宙創成直後)の状態を人為的に再現することにより、宇宙創成の謎を解き明かすことが期待されています。

引用元:国際リニアコライダー(ILC)の東北誘致について-宮城県公式ウェブサイト-

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/seisaku/miyagi-ilc.html

文系出身の僕にはさっぱり分かりません^^;

ちなみに、「ビッグバンの状態を人為的に再現する」とはありますが、それはあくまでも例えであって厳密には「ビッグバン直後の宇宙の状態(素粒子の反応)」を再現するという意味だそうです。具体的には、このILCという加速器で電子と陽電子を超高速で正面衝突させることで「暗黒物質(ダークマター)」や「ヒッグス粒子」が大量に生成されるとのこと。

特に驚きだったのが「ヒッグス粒子」について。このヒッグス粒子は、分子や原子を結合させるもので、これがなければ私たち人間の体はバラバラになってしまうそうです。

なぜ日本への誘致が計画されているのか

大きな理由は次の三つです。

  1. 素粒子物理学の研究でノーベル賞受賞者多数
  2. 加速器技術大国
  3. 地形・地盤やその他諸条件面で日本が最適

特に3.については、20kmもの加速器を地下に造るため、建設地には強固な岩盤が必要です。加えて、安定的に電力が供給される必要がありますし、火山や活断層による被害もない場所が必要。そこで、これらの諸条件を満たす建設候補地として岩手県の「北上山地」が挙げられました。

ただ、あくまでも現在の最有力建設候補地が日本(の北上山地)であって、まだ決定ではありません。

国際リニアコライダー(ILC)が日本に建設されることのメリット

科学技術発展のチャンス

日本が「科学技術立国」だったのは、今となっては昔のことです。

日本は過去に多数のノーベル賞受賞者を輩出しましたが、近年の緊縮財政(主に研究費の削減)が継続すると今後はそれも難しくなります。あの「iPS細胞」研究でノーベル賞を受賞した、山中伸弥さんの研究所(京都大学iPS細胞研究所)ですら教職員の9割以上が非正規雇用です。当然、不安定な雇用では安心して研究に専念できません。その点、このILCのプロジェクトは30年以上の長期間に及びます。また、様々な分野への応用が期待されていますから、様々な分野の研究者や科学者も関わることになります。

(山中伸弥所長のメッセージはこちら。)

長期的で絶大な経済効果

前述したように、このILCのプロジェクトは30年以上の長期間に及びます。その間、世界中の研究者や科学者、その家族が日本で生活することになります。ILCの建設に伴う経済効果はもちろん、インフラ整備やそこに住む人々のための各種サービス(ビジネス)といった需要が創出され、経済効果は絶大です。もちろん、震災復興のためにも必要であることは言うまでもありません。

最後に

本書では、上記のほかに、ILCをめぐる賛成派・反対派の政治的なやりとりについても記載があります。反対派は、いかにも日本らしいくだらない理由によりILCの誘致に反対しています。具体的には、「ほかの研究分野に予算が回らなくなる。」や「どれくらいの成果がでるのかが具体的に分からない。」という理由です。日本の財政破綻はあり得ませんから(現代貨幣理論(MMT))、必要な分野に必要な予算を充てればよいだけですし、これらの研究は事前にどれくらいの成果がでるのか分かる類のものではありません。

このILCは日本の将来を左右する一大プロジェクトなのですが、東北地方以外ではなかなかマスコミに取り上げられないこともあり、国民にあまり知られていないのが現状です。多くの方に興味を持っていただき、ぜひ日本での建設を実現して欲しいと思います。ご興味のある方は、ぜひご覧ください!