奇跡の経済教室【基礎知識編】【戦略編】|中野剛志|書評

秀逸」。この本の感想はこの言葉に尽きます。

先日、中野剛志さんの著書『奇跡の経済教室【基礎知識編】【戦略編】』の2冊を読了しました。

僕は以前にも中野さんの著書をいくつか読んだことがあるのですが、中野さんの頭が良すぎて(僕の頭の悪さも相まって)、いずれもあまりの難解さに内容が理解できませんでした。しかし、この本に関しては違いました。

かなり高度な内容を分かりやすく書いてあり、普段経済の本を読まない方にも是非読んでいただきたい2冊です!

本記事では、特におすすめな『奇跡の経済教室【基礎知識編】』についてご紹介します!

中野剛志さんについて

まずは簡単に、中野剛志さんのご紹介。

1971年生まれ。

東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。

エディンバラ大学大学院(政治思想を専攻)にて優等修士号、博士号を取得。

元京都大学大学院工学研究科准教授。など。

まさに、エリートを絵にかいたような経歴ですね!

目次

奇跡の経済教室【基礎知識編】の目次
  • はじめにーなぜ「奇跡」なのか
  • 第一章 日本経済が成長しなくなった単純な理由
  • 第二章 デフレの中心で、インフレ対策を叫ぶ
  • 第三章 経済政策をビジネス・センスで語るな
  • 第四章 仮想通貨とは、何なのか
  • 第五章 お金について正しく理解する
  • 第六章 金融と財政をめぐる勘違い
  • 第七章 税金は、何のためにある?
  • 第八章 日本の財政破綻シナリオ
  • 第九章 日本の財政再建シナリオ
  • 第十章 オオカミ少年を自称する経済学者
  • 第十一章 自分の理論を自分で否定した経済学者
  • 第十二章 変節を繰り返す経済学者
  • 第十三章 間違いを直せない経済学者
  • 第十四章 よく分からない理由で、消費増税を叫ぶ経済学者
  • 第十五章 主流派経済学は、宗教である
  • 本書のまとめー目からウロコが落ちる15の基礎知識

経済を語る上で重要な「お金」と「租税」について

経済について語る上で個人的に重要だと思うのは、お金(貨幣)租税(税金)についてです。本書で言えば、第五章と第七章。まずは、これらについて理解することが重要だと考えます。

そして、これらを理解した上で取るべき経済政策を考える。というよりもむしろ、お金(貨幣)と租税(税金)について正しく理解することができれば、取るべき経済政策というのはおのずと決まるものです。

お金(貨幣)とは

本書では、昨今話題の「現代貨幣理論(MMT)」について言及していることはもちろん、第五章ではお金について非常に重要な事実を述べています。それは、「銀行が、預金通貨という通貨を創造する」ということです。以下、引用。

まとめると、銀行が貨幣を供給するということは、貸出しを行う(信用創造)ということです。

銀行が貸出しを行うと、銀行預金という貨幣(預金通貨)が同時に発生します。銀行預金を元手に貸出しを行うのではなく、貸出しが銀行預金を創造するのです。

したがって、銀行は、元手資金の量に制約されずに、貸出しを行うことができます。ただし、借り手の返済能力の限度、そして準備預金制度などの規制が、銀行の貸出しの制約となっています。

銀行の貸出しが預金を生むのであって、その逆ではない。

引用元:奇跡の経済教室【基礎知識編】、p102

銀行の貸出しが預金を生むのであって、その逆ではない。」これは、政府の新規国債発行についても同じことが言えます。政府が新規国債を発行し、財政出動をすれば家計の銀行預金を含め民間の貯蓄が増えます。これについては、西田昌司議員が財政金融委員会で質問し、日銀も認めています。

日本の財政については「国の借金が日本の家計貯蓄を超えると財政が危ない」という議論があるのですが、上記によりそれが杞憂であることが分かります。政府が国債を発行し財政支出を行えば、その支出額と同額の民間の貯蓄が生まれるのですから、上記の考えはあり得ませんよね(そもそもなぜ「家計貯蓄」に限定しているのかも意味不明です)。

租税(税金)とは

税に関して重要な事実は、「財源確保の手段ではない」という事です。先日、消費税が10%に増税されたばかりで、その理由も(一般的には)「財源の確保」とされているのですから、「そんなバカな!?」と考える方も多いでしょう。

そもそも、「自国通貨を発行できる政府が、財源を税金とする」必要は全くありませんし、実際に政府は税収や国債発行をすることなくお金を支出しています。(専門的には「スペンディング・ファースト」や「OMF」というのですが本記事では割愛。)

租税(税金)の役割はいろいろあるかと思いますが、主なものは次の2つ。

  • 物価調整
  • 所得再分配

現代貨幣理論(MMT)によると、理論的には政府は通貨を無制限に発行できますが、それではやはり物価が高騰してしまうため、インフレ率がその制約となります。つまり政府は、支出したお金を租税(税金)という形で「事後的に」徴収し物価を調整しています。

また、徴税し所得再分配をすることで、所得格差が是正され社会が安定しますし、本書に記載がある通り「需要の拡大を通じて、経済成長を促す」という役割もあります。

最後に

何と言っても本書は、中野さんも言及している通り「超一流の学者たちによる研究や理論」をもとに書かれています。

ただ、本記事で説明したような内容を主張する政治家や経済評論家、学者は残念ながら少数派です。例えば、政治家では安藤裕議員や西田昌司議員。そして、れいわ新選組の山本太郎代表もそうですね!

本書は、経済について嘘の情報や印象操作が蔓延している新聞やテレビでは決して知ることのできない貴重な事実を知ることが出来る一冊となっています。ご興味のある方はぜひご一読ください!