「年金問題」は嘘ばかり!?年金未納者割合はたったの2%。年金問題もやはり経済問題である。

最近、「老後資金は2,000万円必要」「国民年金保険料の納付率68.1%」といった報道を目にしたので、タイムリーに「年金」に関するあれこれについて記載しようと思います。加えて、年金に関する本で以前読んで面白かったものを少しだけご紹介します!

「年金問題」は嘘ばかり ダマされて損をしないための必須知識 (PHP新書) [ 高橋洋一 ]
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公的年金(国民年金)被保険者の種類と対象者

まずは日本の公的年金制度について、簡単に少しだけご紹介します。社会保険労務士やその受験生などであれば当然知っている基本中の基本の内容です。

国民年金は、基本的に日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入するもので、次の3種類があります。

公的年金(国民年金)被保険者の種類と対象者
  • 第1号被保険者…自営業、学生、フリーター、無職の人など。
  • 第2号被保険者…会社員・サラリーマン、公務員など(いわゆる厚生年金保険に加入している人)。
  • 第3号被保険者…第2号被保険者の配偶者(専業主婦(夫)など)。

国民年金の未納者割合はたったの2%

「年金未納問題」という、国民年金保険料の未納率の高さが問題視されていますが、公的年金加入対象者全体で見ると未納者割合はたったの2%しかありません。

  • 公的年金加入者数…6,745万人
  • 未納者数…138万人
  • 未納者割合(=未納者数/公的年金加入者数×100)…約2%

(平成30年度末の状況)

参考:『平成30年度の国民年金の加入・保険料納付状況について(厚生労働省)

「1人の高齢者を何人の現役世代で支えるか」という誤った問題認識

「少子高齢化のため、少ない現役世代で高齢者を支えなければならない。」という脅し文句について、高橋洋一さんは次の様に指摘しています。

<間違った計算と正しい計算>

  • 間違った年金計算→「人数」で計算
  • 正しい年金計算→「金額」で計算

引用:「年金問題」は嘘ばかり/p80

この指摘については僕も同じ認識です。単純に人数だけで計算することは的外れで、所得も加味した「金額」で考える必要があります。

年金問題もやはり経済問題である

年金問題も結局は「金額(=お金)」の問題である以上、行き着くところはやはり「経済問題」だと言えます。(ディマンドプル)インフレ(需要>供給の状態)になり景気が良くなれば次のように改善することが考えられます。

  1. 国民年金第1号被保険者(主に自営業者)の所得水準が改善することにより未納者・滞納者、免除者が納付するようになる。
  2. 失業率の改善により、今まで年金を納めていなかった人が納めるようになる。
  3. 国民年金第2号被保険者(会社員、公務員などの厚生年金被保険者)の給料、賞与が増えれば保険料収入も増える。

国民年金第1号被保険者の所得水準改善による納付率の改善

そもそも未納者・滞納者は、好き好んで保険料を滞納しているわけではありません。「平成29年国民年金被保険者実態調査結果の概要(厚生労働省年金局)」によると、滞納者のうち実に約70%の人が「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」という理由で納付していないのです。

また、国民年金保険料を免除・納付猶予する場合でも「前年所得が基準以下である」必要があります

つまり、未納や滞納、免除・納付猶予のいずれにしても「低所得」が関係しているのですから、経済環境を改善し国民年金第1号被保険者(主に自営業者)の所得水準を改善することができれば必然的にその納付率は改善します

失業率の改善による納付率の改善

こちらも当然と言えば当然で、収入減がない失業者が他の支出よりも国民年金保険料を優先的に支払うことは考えにくいですよね。

ただ、現在は失業率や有効求人倍率が改善していますので、より重要なのはやはり所得水準の改善が必要です。

※なお、現在失業率や有効求人倍率が改善していますが、アベコベノミクスアベノミクスとやらが主因ではありません(その影響が0というわけではありません)。総人口の減少よりも生産年齢人口の減少が多い(つまり、需要よりも供給能力が大きく減っている)という、単なる「人口動態」の影響です。本記事では詳細は割愛しますが、そもそもインフレ率の低迷、実質消費・実質賃金が低水準であるなど、経済指標が軒並み低水準である中で失業率、有効求人倍率が改善したからといって「アベコベノミクスアベノミクスの成果だ!」というのは(常識的、理性的に考えて)説得力に欠けませんか?

国民年金第2号被保険者(会社員、公務員など)の所得水準改善による保険料収入の増加

国民年金第1号被保険者が納める保険料が定額(令和元年度は1カ月当たり16,410円)であるのに対し、国民年金第2号被保険者(厚生年金被保険者)の保険料はその収入によって変動します。

給与や賞与といった収入が増えれば保険料負担も増えますので、低所得層が中間所得層へ、中間所得層が高所得層へ所得水準が改善することで必然的に年金財政も改善します

ただ、収入の増加により保険料負担が増えると言っても上限がありますので、高所得層が一層豊かになる(トリクルダウン仮説)のでは意味がありません

社会保障のための負担増が「消費税」である必要性は全くない

「年金財政がひっ迫している。」という問題認識があるのならば、国民年金の保険料と厚生年金の保険料率を上げればよいだけです。※平成29年まではどちらも毎年引き上げられました(保険料水準固定方式)。

実際に、消費税増税よりも国民年金保険料や厚生年金保険料率が上がった方が多くの国民にとっては得です(どちらかと言えばですが)。なぜなら、FPやその受験生であればご存知の「社会保険料控除という所得控除額が増えるため、所得税などが少なくなるからです

どうしても「消費税増税でなければならない。」と主張するのは、昇進・昇格に影響のある財務官僚や年金保険料の負担増を嫌う企業経営者などでしょう。

最後に

年金保険料の納付率の低さや年金財政が問題だというのであれば、前述したように経済環境を改善し、国民の所得水準を改善すればよいだけです。「年金問題」も結局は「お金」の問題(財政問題)ではありません。結局は「経済」の問題なのです。

※もっとも、毎度毎度同じ結論になってしまうのですが(それが事実なので仕方ありませんが^^;)、「将来年金がもらえないのではないか。」という不安が「お金(財源)がない」という認識からくるのであれば心配ありません。そもそも日本に財政問題(財政破綻の可能性)がない(MMT)以上、赤字国債を発行すればよいだけです。

なお、本の内容についてはほとんど触れていませんが、すごく面白くてためになるのでぜひ読んでみてくださいね。

「年金問題」は嘘ばかり ダマされて損をしないための必須知識 (PHP新書) [ 高橋洋一 ]
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