社会保険労務士こそ「正しい貨幣とマクロ経済」の知識が必要だと考えています。
なぜなら、企業や労働者等の福祉の向上に資する上で、これら二つは根幹的なものだからです。
社会保険労務士(法)の目的
社会保険労務士法に定めのある通り、社労士は「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」を目的として、業務を行う存在です。
社会保険労務士法
第一条 この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もつて労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。
社労士や社労士を目指そうとしている方の多くは、「企業や労働者のために貢献したい」と思っていることでしょう。
働く人がいる以上、労働問題はついて回りますし、実際に労働法を守らないブラック企業はまだまだあります。
各種ハラスメントであったり、労働者間の不合理な待遇差といった問題も多く、実際に実務に携わっている身としてはとてもやりがいを感じています。
正しい貨幣観とは
コロナの流行により経済的な打撃が生じ、雇用維持のため「雇用調整助成金」を受給された企業も多いことでしょう。
それにより(雇用)保険財政が悪化しているとして、2022年10月から雇用保険料率の引き上げが予定されています。
一方で、(年金保険料を納める)現役世代の賃金が減ったという理由で、4月からは年金支給額が引き下げられます。
これらについて、「財源が無いから当然」と思われる方も多いかもしれませんが、全然違います。
よくよく考えていただきたいのですが、円という通貨は統合政府(政府とその子会社である日銀)が発行できます。
別に「日本銀行券」という形で刷る必要もなく、キーボードを叩けばお金は創造されます(キーストロークマネー。他には万年筆マネーと言ったり)。これは真新しいことでもなく教科書にも載っている内容ですし、今年の共通テストに出題されたことで(経済に明るい積極財政派の中で)話題になりました。
三橋貴明さんが自身の公式YouTubeチャンネル「三橋TV」でも取り上げていますね。
実際、約99%の人が受けとった「特別定額給付金」は、国債発行→財政支出(私たち国民の口座への振り込み指示)という形で、「預金」が創造されました(増えました)。
要するに「正しい貨幣観」とは、「お金は政府がいくらでも発行(創造)することができる※ということ。日本の財政破綻はあり得ないということ」。※制約は額ではなくインフレ率。
(ちなみに税は政府支出の財源ではありませんし、別の役割があります。)
これだけでも、雇用保険料率の引き上げや年金支給額の引き下げが不要であることが分かりますよね。足りないのであれば、通貨を発行し補填すればいいだけですから。
保険料を引き上げる必要は全くない。単に国費を投入すればいい。コロナで疲弊する国民や企業からお金を巻き上げる必要はないのだ。国債発行により通貨を生み出し、これを雇用保険会計に投入すれば済む話だ。https://t.co/3fyYvPOgcn
— あんどう裕(ひろし) 前・衆議院議員 (@andouhiroshi) July 28, 2021
詳細は本記事では割愛しますが、興味がある方は、信用貨幣・信用創造、MMTなどを調べてみてくださいね。以下の関連記事もご覧ください!
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経済とは「世を治め、民の苦しみを救うこと」
私たち社会保険労務士が関わる労働及び社会保険の分野は、経済とは無関係ではありません。むしろかなり密接な関係があります。
そもそも、経済の語源は「経世済民」。
経世済民とは「世を治め、民の苦しみを救うこと」です。つまり、「政治により国民が安全に、豊かに暮らせるようにすること。」だと言えます。
ところが経済音痴の自民党により経世済民とは真逆の政策が行われ続けました。
30年近くデフレを継続させ国民の年収中央値が100万円減少、非正規労働者という不安定な雇用の労働者も増えました。入れる必要のない外国移民を増やし、日本人の賃金上昇を抑制。
労働環境や社会福祉が最低水準へ向かう、「底辺への競争」が進んでいます。
社会保険労務士が各企業に関与しミクロの面で労働環境の改善に寄与することはとても意義のあることだと思います。ただ、それよりも遥かに政治の影響は大きいのです。
ところで、国の借金が増え続けることに対し、よく「無責任だ」という人を見聞きするのですが上記からも分かるように話はまるで逆です。
貨幣やマクロ経済について知らない、勉強しようともしない方がよっぽど無責任であり、そういった方が自民党や公明党、維新といった経済音痴の政党に投票することでますます国民が貧困化。加えて、国の借金を理由にインフラもまともに修繕されず、将来世代に老朽化した危険なインフラを残してしまいます。
デフレでコロナ禍の今、本来やるべき政策はいわゆる「積極財政」と呼ばれるもので、具多的にはれいわ新選組が掲げる以下のような政策です。れいわ新選組の政策は世界的に見てもかなり優れた内容になっています。
- 社会保険料負担軽減
- 全国一律最低賃金1,500円(中小企業には政府が補償)
- 安定雇用
- 非正規公務員の正規化
- 介護・保育の月給10万円アップ
- 医療従事者の処遇を大幅に改善
- 働く人を徹底的に守る(規制「強化」)
いかがでしょうか?社会保険労務士が関わる分野であっても経済(=経世済民)と密接な関係があることが分かりますよね。
ちなみに、れいわ新選組とは真逆の政策を行い、雇用を不安定にし労働環境を悪化させているのが維新ですね。

関連記事:れいわ新選組でなければ国民が豊かになれない2つの絶対的な理由
最後に
「企業のため、労働者のため」と本気で思うのであれば、社会保険労務士こそ「正しい貨幣と経済」の知識が必要になります。
不要な増税や保険料引き上げで企業経営を困難にし、労働環境を悪化させるような自民党や維新などの政党に投票しておいて「企業のため、労働者のため」とかふざけんなと思いますし。なにそのマッチポンプ方式。
先の衆院選の結果からも分かるように、残念ながら有権者の大多数は貨幣とマクロ経済の知識がありません。あったら自民公明維新に投票しません。
現状、正しい貨幣観を有し優れた経済政策を掲げる政党はれいわ新選組しかないのですが、多くの有権者にはその政策の合理性が理解できておらず、ゆえに支持率も低い。
残念ながら今後も日本の衰退は明らか※なため絶望感が強いですが、今後も地道に啓蒙活動していこうと思います。※自民党や維新の政策は、新自由主義(ネオリベラリズム)に基づいているので