昨日、2019年11月8日(金)は第51回社会保険労務士試験の合格発表でした。
皆さん色々と思うところはあるでしょうが、合格された方、残念ながら不合格だった方ともにお疲れ様でした。
今回の試験は令和になってから初の試験だったこともあり、試験内容や合格率の推移が今後どのような傾向になるのかも含め注目の試験でしたね。
また、もちろん試験内容や合格率の推移などの注目点はありますが、今回の試験においても最大の注目点は、やはり何と言っても”選択式試験の足きり”ですよね。
今回の試験では、「社会保険に関する一般常識(以下、社一)」と「労務管理その他の労働に関する一般常識(以下、労一)」が難しかったようで救済措置がとられるのか注目だったようです。
そこで、興味本位で僕も選択式試験の社一と労一を解いてみました。ちなみに、僕は平成28年度の試験に合格して以来、社労士試験の勉強というのはしていません(当たり前ですが^^;)
第51回社会保険労務士試験の合格基準について
今年の試験を受けた方であれば皆さんご存知だと思いますが、改めて今年の社会保険労務士試験の合格基準について記載します。
①選択式試験
総得点26点以上かつ各科目3点以上(ただし、社会保険に関する一般常識は2点以上)
②択一式試験
総得点43点以上かつ各科目4点以上
現役社労士が選択式試験の社一と労一を解いてみた結果
社一は2問、労一は3問正解
平成28年度の社労士試験以来一切勉強していない僕ですが、実際に解いてみた結果は、社一は2問、労一は3問正解でした。
社会保険労務士試験は改めて「運ゲー」だと確信
社会保険労務士試験における選択式試験の労一の特徴は、奇問・難問が出題されることが多いことですよね。
具体的には、テキストや問題集等に載っていない内容が出題されることが多いということ。
そのため、最終的には、テキストや問題集等に記載が無い初見の問題で合否が決まってしまいます。
加えて、足きりの救済措置が講じられるかどうかも他の受験生の出来次第という運の要素が強いです。
社労士試験の救済措置には明確な基準がありますが、近年はその基準を厳格に適用するようになっています。そのため、たった0.数パーセント基準に足りずに救済措置がとられなかったこともありましたね。
解答時の思考について
それでは、今回僕が実際に選択式試験の社一と労一の問題を解いた際の思考について記載したいと思います。
ちなみに先に断っておきますが、謙遜でもなんでもなく僕は地頭が良くないですし、論理的思考というのが苦手なので、あくまでも参考程度にご覧ください!
また、間違った問題についての考えをお伝えしても仕方がないので、主に正解だった問題について、その解答に至った考えについて記載していきます。
選択式試験の社一
試験問題及び正答については、こちら(社会保険労務士試験オフィシャルサイト)からご確認ください。
5問中2問正解
- A:×
- B:○
- C:○
- D:×
- E:×
Bの「葬祭料の金額」について考えたこと

Cの「地域包括支援センターの目的」について考えたこと

まずは選択肢をグルーピングすると、⑰から⑳のいずれかが正解だろう。
問題文中の「地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより」という記載から、キーワードは「心身の健康の保持」と「生活の安定」かな。
そのため、まず⑲の「地域住民との身近な関係性の構築」という選択肢はそぐわない。
また「健康の保持」ということは、今の健康な状態を保持するという意味であれば、⑳の「悪化の防止」というのも違うのではないか?
そして地域住民の「生活の安定」のためであれば、⑰のように「医療や介護」に限定する文言も不自然では?
消去法だけど、⑱の「その保健医療の向上及び福祉の増進」はどちらのキーワードにも合致しているし、「福祉の増進」という文言はいかにも条文にふさわしい抽象的な表現ということで、⑱を選択。
選択式試験の労一
試験問題及び正答については、こちら(社会保険労務士試験オフィシャルサイト)からご確認ください。
5問中3問正解
- A:○
- B:○
- C:×
- D:○
- E:×
Aの「技能検定合格後に名乗れる名称」について考えたこと

まずはグルーピングで、⑬技術士、⑭技能検定士、⑮技能士、⑰熟練工に絞る。
⑭技能検定士は論外。というか悪ふざけ。
次に、文中の「働く上で身につける、又は必要とされる」との記載から、「最低限必要なレベル」というニュアンスが読み取れるので、⑰の熟練工も違う。
⑬技術士とも迷うけれど、「技能」検定という名称だし、わざわざ名称を変えるのも不自然に感じるので⑮の技能士を選択。
Bの「技能検定の受験料が減額の対象となる年齢」について考えたこと

⑤~⑧の25歳、30歳、35歳、40歳のいずれか。
年金の若年者納付猶予の対象が50歳未満に変更になったことを考えると、文中に「若者の確保・育成」とはあるが40歳も十分あり得そう。ただ、やはり40歳を若者というのも無理があるかな?
また、日本のものづくり分野は後継者不足、人材難だろうから、わざわざ25歳未満に限定するのではあまり意味がないような。
消去法で30歳か35歳の2つで迷うけど…やっぱり人材不足の印象が強いため、35歳を選択。
Dの「平成29年の女性の年齢別有業率(平成24年と比較)」について考えたこと

グルーピングすると、選択肢は⑨~⑪、⑱に絞ることができる。
そして、女性の年齢別有業率で有名なのはM字カーブだったはず。
まず前提として、日本は(総人口の減少に比して)生産年齢人口の減少が顕著(三橋貴明さんのブログで度々とりあげられていました)。そのため、基本的には全体的に有業率は上昇しているのではないかと推測できる。
少子高齢化で生産年齢人口の減少が顕著だから、労働市場に入ってくる若者よりも労働市場から出ていく高齢者が圧倒的に多い状態であるため、20歳代以下の層は上昇しているはず。であれば、⑨と⑪は違うだろう。
また、有配偶出生率が上昇している(有配偶出生率についても三橋貴明さんのブログで知りました)ことから、結婚をしている人への支援というのは以前より厚くなっていることが考えられるため、30歳代40歳代の子育て世代についても有業率は少なからず上昇しているはず。
となれば、やはり最初に推測した通り、全体的に有業率が上昇しているのだろうと考えられるため⑱の「すべての年齢階級で上昇」を選択。
以上になりますが、いかがでしたでしょうか?大したことを書いていないため恐縮ですが、ほんの少しでも参考になれば幸いです!!
最後に
前述したように平成28年度の社労士試験以来、一切試験勉強をしていない僕ですが、選択式試験の社一と労一を実際に解いてみた結果は、社一が2問、労一は3問正解でした。
ほとんどが初見の問題で自信をもって解答できた問題は一つもありませんでしたが、それでも今回の本試験の合格基準(足きり)は満たしています。
つまり何を言いたいかというと、以下のようなことが言えるのではないでしょうか?
- 選択式試験の労一に関しては、出題範囲が広すぎるため勉強してもしなくても大差がない
- (今回の僕のように)勉強をしていない場合でも、読解力と(確率的な)運で、ある程度点数が取れてしまうことがある
- 読解力で解けるような問題があると、無勉層(十分に勉強していない方々)でも正解できてしまうため、救済措置が講じられにくい(逆に、単純に知らなければ解けない問題があると救済措置は講じられやすい)
上記のように、選択式試験の(特に労一の)運の要素が強いことが、社会保険労務士試験の合格を難しくしている要因だと改めて感じました。